②筑紫女学園中学校

【2011年度】
 市内の中学校では最も意欲的でオリジナリティのある出題をするので個人的に好きな学校です。
しかし「パターンを外して思考力を試そう」という狙いやこだわりが過ぎると、5年前のように受験者平均36.6点(もちろん100点満点中)という悲惨なことになります。受験者のレベルに合わせた“目新しいけど難しすぎない”問題を作成するという大変なミッション、さてさて今年はどうだったかな? 
前半はこだわりを押さえましたね。典型題を多く出して随分易しくしています。筑女と言えば、前半の小問集合の難しさが印象的でしたが、ここ数年で完全消滅してしまいました。 後半は頑張りました。
大問4のグラフを筆頭に、受験生にあまり馴染みのない題材を使いつつ、ポイントに気づけばあっさり解ける問題が並びました。ただ全体的に今回のミッション、出題者の努力は見えるけど物足りない…。ちょっとあっさり解ける問題が多すぎるし、ここ数年「一問くらい思いきりこだわらせてくれ!」とばかりに出題してきた最後の難問も今年は薄味。やっぱり適正な選抜を行うためには受験者平均が50点以上は欲しいんでしょうね。結果、この10年間で一番易しい内容だったと思います。今年の受験者平均(筑女HPにアップ予定)がどうなるかも気になるところです。さて対策ですが、応用問題を解くことよりも、単元ごとの基本問題を深〜く理解することに時間を使うのが有効だと思います。過去問の研究はもちろん大切ですが、かなりの難問(いわゆる捨て問)も含まれますので、全て理解しようと気負わないほうがいいでしょう。
【2012年度】
 まずは昨年の入試結果ですが、算数の受験者平均は68.7点で、予想通りここ10年で最も高い平均点でした。今年の入試問題も同様に易しめで、同じような平均点になることが予想されます。内容的にも昨年以上に薄味で、過去問と比べると面白みはありません。少し残念な気もしますが、受験生にとっては“面白み”などということより“対策のしやすさ”が何倍も大切でしょうから、その意味では良い内容だったと思います。
一昔前は受験者平均40点台の入試問題が普通だった同校ですが、この三年で完全にシフトチェンジを果たした印象があります。2009年以前の過去問に取り組む際は、やり直しをすべき問題を取捨選択した方がいいと思います。難問に振り回されずに、2010年以降の過去問レベルに照準を合わせて基礎力の充実を図りましょう。
出題分野に大きな偏りはありませんが、どの学校でも出題される「平面図形」と「速さ」はもちろん、「平面図形と速さを絡めた問題」(図形の平行移動・回転移動・点の移動など)について理解を深めておくとよいと思います。