③福大大濠中学校

【2011年度】
 今年はブレイクしましたね〜大濠。モダンな新校舎に共学化、イメージ一新で1000名を超える受験生を集めました。大濠の算数と言えば、骨のある問題が所狭しと並んでいて、解けない問題があっても構うことなくグイグイと突き進まないと到底最後まで辿りつかないハードなセットで、学校の“質実剛健”なイメージとぴったり重なるものでした。イメージ一新した今年、入試問題はどうなる? 個人的には大きな変化を期待していました。「入試問題は思考力を問う少数の良問で構成されるべき」と考える私からすれば、大濠の入試問題は詰め込み過ぎ。解いていても楽しさより苦しさを感じてしまいます。「女子も受けるんだから頼むよ〜」しかし期待は裏切られました。全体的に難問が減って易しくなったのはいいのですが、小問数が38問。他市内校の小問数が20〜25問ですから、38問は多すぎです。
うんざりします。来年以降、もっと楽しい入試問題になることを期待したいです。さて内容ですが、共
学化の影響でしょう、例年出題が非常に多かった図形の問題がグッと減ったのが一番の変化です。
最終大問は昨年に続きパズル系の問題でした。パズル系は最近のトレンドで、考える楽しさを感じられるため歓迎なのですが、この問題は…う〜ん、もう一歩。というのも、これは“パズルを取り入れた問題”というより、まんまパズル。しかも有名なパズル(ビルディング)なだけに、解いたことのある子が有利すぎる…。ちょっとひと工夫加えてほしかったな〜。最後に対策ですが、同じように問題数の多い入試問題を時間内に解いて、スピードと取捨選択の力を磨くことが非常に重要だと思われます。
【2012年度】
 形式に変化はありません。小問数37問。う〜ん…と思いましたが、実際に解いてみるとだいぶ(よい意味で)軽くなっていました。全体的に易しい問題が増えただけでなく、“複雑な計算を要する問題”と“読みとりに時間のかかる問題”が減ったことがスリムアップに繋がったようで、かつてのようなハードな印象はありません。同校の過去問で練習を積んでいた受験生にとっては取り組みやすかったものと思われます。
ただ、問題の質と量から見て、塾などで類題を数多く解いている子が圧倒的に有利なのは相変わらずです。大問5など、「知らないと難問」だけど「知ってるとあっさり」といった、受験算数の特別な知識があるかないかが鍵を握る問題が目立ちます。じっくり考える時間がないのもネックです。そこは個人的に残念なところです。天才型より秀才型、努力型の生徒がほしい、ということなのでしょうか。だいぶ取り組みやすくなったとは言え、受験生は準備に充分な時間が必要です。