①上智福岡中学校(旧泰星中学校)

【2011年度】
 今年から校名変更で注目してましたが、若干肩すかしの感があります。志願者数もそれほど増えておらず、入試問題の形式にも大きな変化は見られませんでした。本格的な動きは共学化される来年度入試からでしょうね。ただ、問題の難易度は上がっており、来年度以降は更に難化するかもです。この学校は国語が特徴的です。記述が非常に多くて難しいのですが、記述部分は難しすぎて逆にあまり差がつかないんじゃないかな〜と個人的には感じています。やはり差がつくのは算数ではないでしょうか。さてその算数ですが、例年通りオーソドックスな出題でした。大問は、速さ、平面図形・場合の数・歯車(反比例)・立体図形。“歯車”以外はいつものメンバー(毎年出題)です。歯車は思考力というより知識が問われる問題なので、個人的には残念でした。ここ数年はずっと“表の読みとり”の良問を出題してたのですが…。“いつものメンバー”の方ですが、“速さ”と“図形”の二大巨頭はどこの学校でも必ず出るのでいいとして、“場合の数”の出題率が高いことに注目です。書きだし(樹形図)を基本にして計算にも持っていけるような練習をしておく必要があります。ヒントは過去問にあります。今年の場合の数(さいころ)は一昨年の類題でした。速さと図形も過去問の流れをくむ出題が目立ちます。
速さなら旅人算(特に周回)、平面図形なら扇形、立体図形なら水面変化、意外なところでのつるかめ算の利用、などなど過去問に早めに取り組めば強化すべきポイントが見えてきます。
【2012年度】
 今年から共学化の同校。今年は志願者が急増しました。定員160名に対し716名。
2010年は同じ定員に対して349名でしたから、二年前の倍以上を集めたこととなります。
気になる入試問題ですが、形式は例年同様で、大問は“いつものメンバー”から“場合の数”が外れて“数表”と“割合”が加わる内容でした。大問6の“速さのつるかめ算”を筆頭に、過去問のリバイバルが相変わらず目立ちます。
算数の問題の難度は上がっていません。昨年よりも少し易しいくらいの内容でした。特徴的な問題も少なく、「今年から難関校の仲間入りだ!」といったような気負いは一切感じられませんでした。ただ、変に難しくしていないので、努力の成果を発揮しやすく、受験生に優しい入試問題だったと思います。
過去問を重視する姿勢も、「うちを第一志望にしている子(過去問をやりこんだ子)に来てほしい」というメッセージなのでしょう。総じて好感が持てる内容でした。来年は“場合の数”が出そうです。基礎力の充実を図り、過去問対策を万全に行いましょう。