④西南学院中学校

【2011年度】
 ここ数年、偏差値が上昇気味の西南ですが、志望校を偏差値だけで選ぶのは危険です。特に中学受験は、保護者が「子どもを最も成長させてくれそうな学校はどこか」という視点で、各中学校独自のカラーや特色についての情報収集を怠りなく行うべきだと思います。入試問題も学校を理解するうえで役に立つものの一つ。何校かの入試問題を並べて眺めてみれば、なんとなく学校の雰囲気が見えてくるものです。では算数の入試問題を見比べてみた場合は…。私が市内で一校を選ぶなら、ズバリ
西南を選びます。学校の評判は賛否両論あるようですが、算数の入試問題に限って言えば、知識より
思考力を重要視する姿勢が明確で、スマートさやセンスの良さが感じられる大変魅力的な学校です。
さて今年の問題ですが、例年より得点しやすかったと思います。私の中の名作、2006年や2010年に比べると面白みに欠ける内容でしたが、それでも随所に西南らしさが感じられるのはさすがです。例えば大問1の(7) 、深く考えずに鉛筆を動かし始めてしまうともう大変。点数に加えて時間までロスしてしまいます。ちょっとクールに全体を眺めてみると実は元の立方体と表面積は変わってないことが分かり、6×6×6で即終了。あまりにさりげないトラップ。ニクイですね。大問4も、工夫の如何によって所要時間に大きく差が出る一問。ただ答えを出せばいいというのではなく、常に工夫を考える姿勢が求められています。パターン演習を大量に繰り返すよりも、見慣れない問題に積極的に挑戦する方が対策としては効果的です。4科トータルでは差がつきにくく、ミスが勝負を分ける学校ですので、“最大限の注意力を発揮して問題に取り組む姿勢”を身につけることが非常に重要。沢山の問題を雑に解くよりも、扱う問題を絞って集中して解きましょう。そのぶん余った勉強時間は他科目の苦手分野対策に充てるとよいでしょう。
【2012年度】 
 例年通り小問数は20問。思考力重視の姿勢は健在で、微妙にパターンを外した興味深い問題で
構成されています。昨年より全体的に若干難しめです。ただし“取り組みやすい問題”と“そうでない
問題”の難度の差が大きいため、取るべき問題をミスなく取った生徒が合格するものと思われます。
今年は大問3・4・5と、手を動かしてしっかりと情報を整理することが必要な問題が目立ち、“最大限の注意力を発揮して問題に取り組む姿勢”が、ますます重要度を増している印象です。
また、今年はグラフが復活しました。この15年で、グラフの出題がなかったのは昨年のみです。
対策としては、“速さ”や“水面変化”の問題に数多く挑戦し(たとえそれが求められていなくても)必ず
グラフ化する習慣をつけるとよいでしょう。グラフの楽しさがわかってくれば、中学校からの勉強(関数)にも必ず役立つはずです。

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