●授業について

 講義形式ではなく、ひとりひとりが異なる課題に取り組む自学自習スタイルです。同一時間の定員は8名の少人数制です。先取り学習は一切しません。小学校内容の算数の質問も受け付けていますが、基本的にはこちらで用意した以下のカリキュラムに取り組んでもらいます。

①絵で解く算数文章題…授業の中心です。お子様の現状に合わせて、私が全700題の中から何問かを選び、取り組んでもらいます。お子様のペースを尊重するため、1問で終わる場合もあれば、何問か解く場合もあります。“考える方法”を体得させ、“とことん考え抜く力”をつけます。

②算数パズル・図形パズル…主に文章題が終わった後の残り時間で実施し、“考える楽しさ”を体感してもらいます。

③ボードゲーム…90分のうち20~30分を、学校も学年もバラバラな生徒が皆で一緒に楽しむ時間として使っています。使用ゲームの多くはヨーロッパで知育玩具として用いられているもので、楽しみながら思考力を養成することが狙いです。

●絵で解く算数文章題って何?

 「絵で解く算数文章題」は、“解き方を教えるため”の問題ではなく、“考える力を鍛えるため”の問題です。子どもがイメージを膨らませやすいような題材を用いていますが、すぐには式が思いつかないような複雑な問題も多く、小学校で扱う文章題よりハイレベルな内容となっています。(作成者は「どんぐり倶楽部」の糸山泰造先生です。)

その日の問題を受け取ったら、それをノートに貼り、問題文の通りになるように絵を描いていきます。絵に表す(視覚化する)ことで問題文の情報を整理することが出来ますし、絵を使うことで難問に対しても粘り強い試行錯誤が可能となります。時間制限は設けず、じっくり問題を味わってもらいます。
漢字の読み方や言葉の意味などは教えますが、ヒントやアドバイスは最小限に抑え、行き詰まった時も簡単に解き方を教えることはせず、絵を使った試行錯誤を促します。

考える力は、試行錯誤、つまり“自分で考え・自分で動き・自分で確認する”ことによって鍛えられます。「こうしたらこうなるかな?」という予測を立て、具体物を使ってやってみて、結果を確かめる。
「思った通り」「あれ?違う」 数字や式などの抽象的な記号ではなく、具体物というのがポイントです。実際に目に見えるものだからこそ、様々な工夫を思いつきやすく、やってみたことの結果をしっかりと体感できるのです。それが「絵」である理由です。

生活や遊びの中で試行錯誤をする機会が、今の子ども達には圧倒的に不足しています。意識的に試行錯誤の機会を作らなければ、困難な問題に直面した時に、解決策を「教えてもらおう」とするのでなく「自分で見つけよう」とする姿勢はなかなか育ちません。絵による試行錯誤ができれば、あえて教えずとも、いつかは自力で自分なりの解き方を“発見”します。その際に得られる「わかった!」という納得感は、脳と心に深く刻まれますので、解き方を忘れるということがなく、他の問題にも自在に応用できます。そして、自分の成し遂げたことに対する自信が、新たなチャレンジを可能にするのです。

リンクのページ(こちら)で実際に使用された方のブログやHPをご覧になっていただけます。どんな問題があるかは、ノートギャラリー(こちら)でご覧いただけます。(画像はクリックすると拡大します。)

<2013/7/20 追記>
授業の質を更に高めるべく、「地頭を鍛える学習教室(HPはこちら)」のオリジナル教材、「地頭を鍛えるお絵かき算数ドリル」を導入しました。
どんぐり倶楽部の理論・理念を受け継いだ650題。 こちら にも関連記事を書いてます。

●なぜ先取りをしないの?

 進学塾や学習教室では1・2年先の内容を学習する、いわゆる“先取り学習”は一般的ですが、こいくでは先取りを一切やりません。
 先取り学習の最大の問題点は、“小学校での学習の意味が失われてしまう”点です。
 授業は「わかりきった(と本人が勘違いしている)ことの退屈な繰り返し」となり、宿題は「すでに出来ることを何度もやらされる面白みのない作業」と化してしまうのです。子どもが勉強嫌いになり、小学校の先生が進学塾を目の敵にするのも無理はありません。
 しかし、こいくで学ぶ「絵で解く算数文章問題」は、小学校の授業の意味を奪わず、それどころか更に有意義なものにしてくれる内容になっています。以下の例題をご覧下さい。

例題: おほしさま1こと えんぴつ3ほんを こうかんしてくれる おみせがあります。えんぴつを 15ほん もっていくと おほしさまは なんこもらえますか。

 これは年長〜小2くらいの子どもが解く問題で、わり算の要素が含まれます。計算ができても意味が体験的に理解できていないため、わり算を使いこなせない子どもは山ほどいます。
 この問題を解く際に、÷という記号や意味は教えません。絵に描くことさえできれば、式など使わず解くことが充分可能です。わり算を習う前にわり算の考え方を、体験的に充分しみこませるのです。具体的作業が基本ですから、数字が大きい問題では少々大変な思いをしますが、それでいいのです。
 こういった準備をしておくと、小学校で15÷3という式を習ったときに、「あっ、これを使えばあの難しかった問題も簡単に解けるじゃん!」と抽象化することの便利さに感動を覚えることすら可能です。わり算の意味や使い方の説明も興味深く聞けるでしょう。無味乾燥な計算問題をやらされてきた子が、計算手法にだけ目を向けて「もう知ってるよ…」と、考える力をつけるチャンスを逸してしまうのとは対照的です。

 これを“準備学習”と呼びます。先取り学習と一見似ているようでも、全く効果が異なります。小学校の授業時間の長さと宿題量を考えた場合、この差の積み重ねは後々取り返せないくらいの大きなものとなります。
 「絵で解く算数文章問題」で行う“準備学習”であれば、小学校の授業を最大限に有意義なものにできるので、“週1・2題程度の文章題と少量の宿題”で、充分な学習効果をあげることが可能です。
  ※ 関連記事 :始めての方へ→ ウォーミングアップ