●なぜ先取りをしないの?

 進学塾や学習教室では1・2年先の内容を学習する、いわゆる“先取り学習”は一般的ですが、こいくでは先取りを一切やりません。
 先取り学習の最大の問題点は、“小学校での学習の意味が失われてしまう”点です。
 授業は「わかりきった(と本人が勘違いしている)ことの退屈な繰り返し」となり、宿題は「すでに出来ることを何度もやらされる面白みのない作業」と化してしまうのです。子どもが勉強嫌いになり、小学校の先生が進学塾を目の敵にするのも無理はありません。
 しかし、こいくで学ぶ「絵で解く算数文章問題」は、小学校の授業の意味を奪わず、それどころか更に有意義なものにしてくれる内容になっています。以下の例題をご覧下さい。

例題: おほしさま1こと えんぴつ3ほんを こうかんしてくれる おみせがあります。えんぴつを 15ほん もっていくと おほしさまは なんこもらえますか。

 これは年長〜小2くらいの子どもが解く問題で、わり算の要素が含まれます。計算ができても意味が体験的に理解できていないため、わり算を使いこなせない子どもは山ほどいます。
 この問題を解く際に、÷という記号や意味は教えません。絵に描くことさえできれば、式など使わず解くことが充分可能です。わり算を習う前にわり算の考え方を、体験的に充分しみこませるのです。具体的作業が基本ですから、数字が大きい問題では少々大変な思いをしますが、それでいいのです。
 こういった準備をしておくと、小学校で15÷3という式を習ったときに、「あっ、これを使えばあの難しかった問題も簡単に解けるじゃん!」と抽象化することの便利さに感動を覚えることすら可能です。わり算の意味や使い方の説明も興味深く聞けるでしょう。無味乾燥な計算問題をやらされてきた子が、計算手法にだけ目を向けて「もう知ってるよ…」と、考える力をつけるチャンスを逸してしまうのとは対照的です。

 これを“準備学習”と呼びます。先取り学習と一見似ているようでも、全く効果が異なります。小学校の授業時間の長さと宿題量を考えた場合、この差の積み重ねは後々取り返せないくらいの大きなものとなります。
 「絵で解く算数文章問題」で行う“準備学習”であれば、小学校の授業を最大限に有意義なものにできるので、“週1・2題程度の文章題と少量の宿題”で、充分な学習効果をあげることが可能です。
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