明日の試験で結果を出すことだけを考えたとすると、一日で考える力はつきませんから「出題範囲と出題形式を分析して、解法を暗記するまでパターン演習をひたすら徹底反復させる」ことが最も効率的な指導、ということになるでしょう。実際、目先のテストを意識するあまり、このようなその場しのぎの勉強法を勧める教師や保護者が多数います。
 おなかがすいている子どもに、“魚を買って与える”ことは簡単ですが、あくまでもその場しのぎです。その子の将来を考えたら、時間がかかっても“魚の釣り方を教える”ことこそが大切です。

 特に小学生時代は、学習面での土台作りに集中しなければいけない、大変重要な時期です。
よく「できる」と「わかる」は別物と言いますが、この時期に「できる」を優先すると、本当はよくわかっていないのに手順だけ暗記するようになり、深く考えられない頭をつくることにつながります。
 中身の伴わない「できる」は長続きしません。伸び悩むのは確実です。深い納得感を伴う「わかった!」があってはじめて、本当の意味で「できる」ようになるのです。小学生の間に、いくつの「わかった!」を積み上げることが出来るかが勝負です。結果を気にして知識を詰め込む前にやるべきことがあるのです。
 考えること抜きに「わかった!」はやってきません。考える方法を体得して考える楽しさを知り、ひとつの問題について深く考え抜く力をつけることこそ、最優先すべき事柄なのです。