●こいく文庫(子ども向け)⑫

☆ 冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 ☆ 斉藤 惇夫

~大都会に住むドブネズミのガンバは、船乗りネズミたちと知り合い大パーティーを繰り広げていた。
そこへ助けを求めてやってきたのは、全身血だらけの忠太。忠太の必死の願いにガンバたちは…。
冒険の旅が今、始まる!~

この作品が私が選ぶベストオブベスト、児童文学の最高峰です(ただし上級者向け)。島にいる忠太の仲間を窮地に陥れているのは、魔力を持った“ノロイ”率いるイタチ一族。「ネズミはイタチにかなわない」という絶対的な事実があるのにも関わらず、島に向かうガンバたち15匹。
“戦うことは逃げること”という絶望的な状況に、勇気と
知恵と友情で立ち向かい…。
夢中になるうち心は本の中。ガンバたちと一緒に、恐れ、悲しみ、奮い立ち、喜び・・・。そして大きな感動と共に一つの冒険が終わった後、本を読み始める前とは少しだけ(しかし確実に)変わった自分に気づくのです。
心を揺さぶる冒険ファンタジーの大作。特筆したいのは文章の美しさ。特に台詞は、シンプルでタイトでハードでソリッド。かっこいい!