●算数つまづきポイント解説〈4年生〉

《4年生の算数つまづきポイントは、“わり算の筆算”と、“単位換算”。高学年に備えましょう》

5年生になると、“割合”の単元の理解に苦戦する子が続出します。個人的には、「公立小学校って、なんで割合を、こんなにややこしい形で教えるの?」と疑問なのですが(詳細は、次回5年生の解説の際に書きます)、とはいえスムーズに理解できるに越したことはないので、4年生のうちに、その下準備をしっかりやっておきたいところです。

下準備①:“わり算の筆算”をしっかりできるようにしておきましょう

5年生の一学期に、“小数÷小数”の筆算を習います。どちらをどちらで割るか、立式が難しいので、そこに集中できるようにしておきたいところです。整数の筆算が苦手なままだと、小数の筆算もミス続出→ “立式の間違い”と“筆算の間違い”がランダムに出現→ 頭がパンクして「わからん~!」・・・となるケースが多いです。「筆算は問題ないけど、立式をたまに間違える」ということであれば、落ち着いて苦手に対峙することが可能になります。

「わり算の筆算をスムーズにこなせるかどうか」は、これまでの学習内容の定着度を測るバロメーターになります。わり算の筆算がしっかりできていれば、「たし算・ひき算・かけ算の筆算について、復習することは特にない」と言えます。苦戦しているようなら、復習の良いチャンスです。わり算の筆算の良いところは、どこでつまづいているかを分析することによって、必要な復習単元を絞り込むことができる点です。この分析作業は、本人や小学校の先生まかせにすると難しい場合も多いため、保護者の方が手伝ってあげるとよいと思います。

もしお子さんが、わり算の筆算に苦戦しているようなら、苦戦の原因となっている箇所を、横でよ~く観察してみてください。どのあたりを復習すればいいのか、たし算が怪しいのか、それともひき算か、繰上りか繰り下がりか、九九の暗記が怪しいのか、かけ算の筆算の仕方がわかってないのか、等々、きちんと分析して絞り込むことが大切です。原因をハッキリさせて、そこだけ集中的に復習すれば、成果が上がりやすいはずです。

下準備②:これまで教わってきた“単位換算“について、総まとめしておきましょう。

“単位”についての学習は2年生の一学期からスタートします。習ったその時に理解させ定着させるのが、難しい単元だと思います。割合と同様に「この教え方じゃつまづくのも当然だろう…」とか「そもそも単位ってそんなに大事? 入試にもほぼ出ないし…。実生活で使わない単位も多いし…」とか、疑問が多々あるのですが、ではなぜ、4年生に、“単位換算についての総まとめ”をオススメするかと言うと、単位についての知識が曖昧だと、(わり算の筆算と同様に)割合の理解に支障をきたすからです。

割合理解の基本となる、「2500円の0.1倍は?0.01倍は?」といった質問にサッと答えることができない5年生がけっこういます。つまづきの大きな原因として、“小数絡みの単位換算”があると、私は考えています。4年生後半に学習する、「0.1m=10cm」や「0.01m=1cm」といった内容は、「1m=100cm」がしっかりイメージできている子にとっては、0.1倍や0.01倍の意味理解の助けになるものだと思います。ところが「1m=100cm」が怪しい子にとっては、混乱の元でしかありません。(なかにはこれも暗記すべきものと勘違いしてる子もいます) 実感しやすい長さの単位ならまだよい方で、忘却の彼方にあったdLで「0.1dL=10mL」などと説明されると、混乱はますます深まります。実際はそれほど難しいわけではない0.1倍や0.01倍の意味理解が、単位を苦手にしている子にとっては、すっごく難しいものに豹変してしまうのです。

「単位はややこしい」と感じている子は多いと思いますが、2・3年時に扱う、長さ・かさ・重さの単位は、それぞれ単発で学習しています。相互の関連が整理されていないため、記憶が定着しにくいのです。まとめて一気に復習すると、意外とカンタンです。先ほど「単位って…大事?」と書きましたが、(相互の関連を整理できる4年生にとっては)それほど難しいものでもないので、さらっと覚えて苦手意識を克服してしまいましょう。 私の教え方を紹介します。

「1mって何cm?そう、100cmやね。自分の身長とかで考えれば10cmとか1000cmはおかしいってわかるよね。じゃあ1cmって何mm?そう、10mm。定規見ればわかるね。次。1Lって何dL?10dL?100dL?これけっこうわからんくなるよね。(1Lのペットボトルに10分の1だけ水を入れ)これくらいが1dLって覚えとくといいよ。じゃあ1Lって何dL?そう、正解は10dL。(次に500mLのペットボトルを見せ)じゃあ1dLって何mL?そう、100mL。500mLの5分の1くらいやろ?実はね、センチって100分の1って意味で、デシは10分の1って意味なんよね。だから1m=100cmで、1L=10dL。センチはできとったけ、デシだけ覚えればいいよ。単位そんなとこかな。 あ、あとね~、キロってなんかでっかいイメージあるやろ? キロは1000倍って意味。だから1km=1000m、1kL=1000L、1kg=1000g、全部いっしょ。それからミリは小さいイメージあるよね。ミリは1000分の1。だから1m=1000mm、1L=1000mL、1g=1000mg、これも全部いっしょ。デシだけ覚えれば、あとはほぼ1000やね。これで終わり~。カンタンやろ?」

ポイントは「単位ややこしい。覚えきれん」という意識の払拭です。この後いくつか問題をやらせてみて、「ほらできた、カンタンやろ?」と自信をつけさせれば、混沌としていた頭がスッキリするはずです。 各単位の持つ意味を効率的に暗記できる方法もあります(インターネットで、“単位・キロキロ”、もしくは“単位・キハダマグロ”、で検索するとヒットします)。これらの暗記法の良い点は、早い時期に覚えてしまえば2・3年生時のつまづきを回避できるところだと思います。 私の教え方のような、実感と結び付けながら整理する方法の良い点は、(上記の暗記法では対応しづらい)“面積や体積の単位換算”にも対応できるところだと思います。