●計算練習はしなくていいの?

 「宿題、たったこれだけ?」とお感じになる保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、大切なのは量ではなく、質です。大量の宿題を強制すれば少なくとも机に向かう時間は増えますから、親としては「熱心に勉強しているな」と満足しやすいのですが、ここが落とし穴です。もしもそれが、考える力を要しない反復系の宿題であれば特に危険です。反復系の宿題を機械的に大量にやらせることは、“考えることのできない頭”を育てることに繋がります。
 
 算数に関して言うと計算は反復することで速くなりますが、考えないから(反射的に解くようになるから)速くなるのです。高速計算練習を重ねてきた子どもが、文章問題を解けないのは「単に文章問題の解き方を知らない」ということではなく、「考えることが出来なくなっている」ということなのです。これは大変危険なことです。「まず計算力という基礎のうえに応用力がつく」というのは大きな誤解です。多くの専門家が指摘しているとおり、算数における基礎とは計算力ではなく“考える力”なのです。
 
 特に最近は、小学校でも大量の反復系の宿題を出す先生が目立ちます。目先の結果の出やすさや管理のしやすさからなのでしょうが、本来楽しいはずの学習を、退屈で苦痛な作業にしてしまっているようで大変気になります。量より質が重要です。子どもは朝から夕方までしっかり勉強して帰ってくるのです。宿題は最小限にして、考える力の養成に非常に有効な、“主体的な遊び”に時間を使っていただきたいと思います。