●ベストセレクション2011 解答・解説 (文責 : 学び舎こいく 滝)

①筑紫女学園中学校 

(1) 「1〜9の9枚のカードを3つのグループに分ける」というのは、問題文の「たとえば〜」の条件と同じです。ここから、合計が15になる組み合わせを考えればいいということがわかります。2枚の合計を15にする組み合わせは2通りだけですから、【6,9】 と 【7,8】、そして残りの 【1,2,3,4,5】 となります。(分け方はこの1通りのみ。)

(2) 1〜8の合計を調べると、36になることがわかります。合計36を2つのグループに分けますので、それぞれのグループの数字の合計は、36÷2=18 より 【18】 となります。(ちなみに分け方は全部で3通り。3枚のグループの選び方を書くと、<3,7,8>,<4,6,8>,<5,6,7>となります。)

(3) (1)と(2)の誘導を踏まえて「合計」を調べておくのがポイントです。1〜7の合計を調べると、28になることがわかります。合計28を2つのグループに分けますので、それぞれのグループの数字の合計は、28÷2=14 となります。
カードの枚数の組み合わせは<1枚,6枚>,<2枚,5枚>,<3枚,4枚>の3通りがありますが、1枚や2枚で合計を14にするのは不可能ですから、<3枚,4枚>の組み合わせだけを調べればよいとわかります。3枚で合計を14にする組み合わせは、<1,6,7>,<2,5,7>,<3,4,7>,<3,5,6> の4通り、よって分け方は全部で 【4通り】 となります。

※組合せの調べ方についてですが、自分の中でルールを決めることなく思いつきで書きだした場合、モレやダブリが出やすいだけでなく、「調べ終わりがわからない」という問題が生じます。例えば、「3桁の数と捉えたときに小さい順に書いていく」「左隣の数より大きい数だけを書く」というルールを決め、それに従って順序よく書き出せば、モレやダブリを防げますし、<5,6,7>が最後の組み合わせとなりますので、調べ終わりがはっきりします。
ただ、上記のような「書き出しのルール」を最初から教えてしまうのはあまりよくないと思います。自由に取り組ませると苦労もするし失敗もするでしょうが、そういった経験を積むことで「何か良い調べ方はないだろうか」と本人が自ら考え行動することが大切です。

②久留米附設中学校

(1) 解法は①の筑紫女学園(3)と同様です。ただし、「答えは、7を含む方のグループのみを書いて答えなさい」という部分に注意しましょう。条件に従って4通りを書くと、【 (1,6,7), (2,5,7), (3,4,7), (1,2,4,7) 】 となります。

(2) n=6のとき、6個の数字の平均は、(1+2+3+4+5+6)÷6=3.5 となりますので、どのような分け方をしたとしても、それぞれのグループの平均は3.5となるはずです。また、数字は全部で6個ありますから、2つのグループに含まれる数字の個数の組み合わせは、<1個と5個>、<2個と4個>、<3個と3個>、以上3通りが考えられます。ただし、数字1個で平均3.5にはなりませんから、<1個と5個>はありえません。同様に、数字3個で平均が3.5になる、ということは3個の数字の合計は、3.5×3=10.5となるはずで、ここから<3個と3個>もありえないことがわかります。残った<2個と4個>について、合計はそれぞれ、数字が2個→3.5×2=7、数字が4個→3.5×4=14となります。数字が2個で合計が7の組み合わせは(1,6),(2,5),(3,4)の3通りですから、答えも3通りあります。条件に従って「6を含む方のグループ」を書くと、【 (1,6), (1,3,4,6), (1,3,4,6) 】 となります。

③西南学院中学校 

(1) <左上,右上,左下,右下>で表すと、<4,1,3,2>からスタートして、<3,4,2,1>→<2,3,1,4>→<3,2,4,1>、よって正解は 【ア=3, イ=2, ウ=4, エ=1】 となります。

(2) 途中までは(1)と同じ操作をしますので、<4,1,3,2>→<3,4,2,1>→<2,3,1,4>、その後、オでAの操作をすると <1,2,4,3>となります。この後、カでBの操作をすれば、最終形の<2,1,3,4>となります。(カでAの操作やCの操作をした場合は、<2,1,3,4>になりません。) また、オでBの操作をした場合、その後のカでどのような操作をしても<2,1,3,4>にはなりません。オでCの操作をした場合も同様です。よって正解は 【オ=A, カ=B】 となります。

(2) まずは<4,1,3,4>→<1,4,2,3>。次に、①でAの操作をした場合は<2,1,3,4>となります。更に②でAの操作をすれば<3,2,4,1>、Bの操作だと<1,2,4,3>、Cの操作だと<4,1,3,2>となります。それぞれについて、③でA・B・Cの操作をして、最終形の<4,1,3,2>となるかを調べます。すると①でAの操作をした場合、最終形が<4,1,3,2>となる組み合わせが1通りだけあるのがわかります。①Aで<2,1,3,4>→②Bで<1,2,4,3>→③Aで<4,1,3,2>です。これは②がBであることから、表の4通り目のパターンだとわかります。
同様に、①でBもしくはCの操作をした場合のことを調べていくと、残りの1通りが見つかります。①Cで<3,4,2,1>→②Cで<1,4,2,3>→③Bで<4,1,3,2>です。これは②がCであることから、表の3通り目のパターンだとわかります。よって正解は、【キ=C, ク=B, ケ=A, コ=B, サ=A】 となります。

④桐朋中学校

(1) まず最初に1〜6の数について、約数を調べておきます。1の約数は1だけ、2の約数は1と2、3の約数は1と3、4の約数は1と2と4、5の約数は1と5、6の約数は1と2と3と6 となります。ここから、どの目が出ても必ず1のカードはうらがえることがわかります。さて、3,3,2,6,3の目が出た時についてですが、それぞれの約数を書き出して調べると、最終的に1と6が赤になっていますので、P=1+6=7、正解は 【7】 となります。

(2) (1)を調べることで、奇数回うらがえされたカードが赤色となることがわかります。例えば(1)で1のカードは5回、6のカードは1回、つまり奇数回うらがえされたので赤色となります。2のカードは2回、3のカードは4回、つまり偶数回うらがえされたので結果として白色に戻っています。
さて、サイコロを3回投げた場合ですが、どの目が出ても必ず1のカードはうらがえりますから、1のカードは3回(奇数回)うらがえり赤色となります。P=8より、他に赤色となったカードの和は、8−1=7です。2〜6の組み合わせで7になるものは、2+5=7 と 3+4=7 の2通りだけですから、<ア>:2と5を奇数回うらがえす場合と、<イ>:3と4を奇数回うらがえす場合の2通りを調べればいいことがわかります。
まず<ア>についてですが、2と5の目が1回ずつ出れば2と5はそれぞれ1回(奇数回)うらがえり赤色となります。残りの1回で1が出れば2〜6のカードはどれもうらがえりませんので、3回の出た目は2と5と1、小さい順に書くと 【1,2,5】 となります。
次に<イ>についてですが、3と4の目が1回ずつ出れば3と4はそれぞれ1回(奇数回)うらがえり赤色となります。ただし4の目が出た時には2もうらがえることに注意しましょう。残りの1回で2がでれば2のカードは2回(偶数回)うらがえり白色となりますので、3回の出た目は3と4と2、小さい順に書くと 【2,3,4】 となります。

(3) サイコロを20回投げると1のカードは20回うらがえります。偶数回ですから1のカードは白色となり、Pには含まれません。P=10とするためには1以外の2〜6の組み合わせで10とする必要があります。考えられるのは、4+6=10と 2+3+5=10の2通りだけですから、 <ア>:4と6を奇数回うらがえす場合と、<イ>:2と3と5を奇数回うらがえす場合の2通りを調べればいいことがわかります。
まず<ア>についてですが、6の目が奇数回でた場合、約数である1,2,3,6のカードが赤色となります。6の目が多く出る場合を考えますから、4の目は最も少ない1回出ることを考えて、1,2,4がうらがえり、この結果、3,4,6のカードが赤色となります。次に余計な3をうらがえすため、3の目が最も少ない1回出ることを考えます。1,3がうらがえり、この結果、1,4,6のカードが赤色となります。最後に余計な1をうらがえすため、1の目が最も少ない1回出ることを考えます。1がうらがえり、この結果、4,6のカードが赤色となり、P=4+6=10となります。4と3と1が1回ずつ、計3回出ていますから、6の目は20−3=17回(奇数回)出たことになります。
次に<イ>についてです。この場合、6のカードは偶数回うらがえりますので、6の目は偶数回出ていると考えます。6の目が多く出る場合を考えますから、2と3と5の目が最も少ない1回出ることを考えると、1,2と1,3と,1,5のカードがそれぞれうらがえり、この結果、1,2,3,5のカードが赤色となります。最後に余計な1をうらがえすため、1の目が最も少ない1回出ることを考えます。1がうらがえり、この結果、2,3,5のカードが赤色となり、P=2+3+5=10となります。2と3と5と1が1回ずつ、計4回出ていますから、6の目は20−4=16回(偶数回)出たことになります。
以上、①6の目が最も多く出る場合は<ア>の場合で 【(1〜6の順に) 1回・0回・1回・1回・0回・17回】 で、②6の目が2番目に多く出る場合は<イ>の場合で 【(1〜6の順に) 1回・1回・1回・0回・1回・16回】 となります。

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⑤灘中学校 

規則に従って左から5枚目のカードを調べると、1×3×5×17+2=257、左から6枚目のカードを調べると、1×3×5×17×257+2=65537 となります。ここまでは計算できますが、次の7枚目は数十億となりますので、10枚目の数を調べること、更にそこから1を引いた数が2で何回割り切れるかを調べること、これらがかなり大変であることがわかります。そこで視点を変え、問題文の「このとき〜」を参考にして、それぞれの「カードに書かれている数から1を引いた数」が「2で何回まで割り切ることができ」るかを調べてみます。5枚目まで調べると、順に0回・1回・2回・4回・8回となっており、2枚目以降は
1・2・4・8、と規則正しく並んでいることがわかります。左隣の数を2倍していく数列になっていますから、書き出すと1,2,4,8,16,32,64,128,256 と続きます。よって10枚目(右端)のカードに書かれている数は不明ですが、その数から1を引いた数は2で 【256】 回まで割り切ることができることがわかります。

※公立中学校なら3年生で習う内容ですが、乗法公式というものがあります。そのなかの「和と差の積の公式」→ (a+b)(a−b)=(aの2乗−bの2乗)、これを利用して考えると一般化できます。
左から3枚目のカードは積の部分が、1×3=(2−1)(2+1)=「2の2乗−1」となりますので、これに2を加えて「2の2乗+1」となります。よってここから1を引いた数は「2の2乗」となります。4枚目のカードは積の部分が「3枚目までの積×4枚目の数」となるはずです。先ほどの結果を利用すると、積の部分は、3×5=(2の2乗−1)(2の2乗+1)=「2の4乗−1」となりますので、これに2を加えて「2の4乗+1」となります。よってここから1を引いた数は「2の4乗」となります。同様に考えると5枚目のカードから1を引いた数は「2の8乗」となり、この後は、2の16乗、32乗、64乗、128乗、そして「2の256乗」と続きます。
もちろん小学生には累乗や乗法公式の知識はありませんが、「面積図」というものを使えば同じ内容を説明することができます(最難関レベルですが…)。この問題に関しては、解説に書いたように結果から類推した方が早いとは思いますが、いずれにせよ非常に深みのあるテーマだと思います。