●算数つまづきポイント解説〈5・6年生〉

《5・6年生の算数つまづきポイントは、“割合”で決まり! なのですが・・・》

まず、公立小学校の算数教育の在り方について、私見や提言を一通り書いた上で本題に入ります。 …という予定だったのですが、書きたい内容の5分の1くらいを書いたところで、「わっ、めっちゃ長いし固い!」と自分でも引いてしまったので、やめときます。気をつけてほしいことだけを書きます。

「教科書の内容にそれほどの普遍性はないので、あまり気にしすぎないでください。5・6年生は特に、 “つまづきやすい単元”が、“しっかり理解すべき単元”と一致しないので、多少のつまづきには、目をつぶってもいいと思っています。 算数のつまづきが増える→親が不安を持つ→勉強を強制する、というのはよくある流れですが、強制が過ぎると、この先に訪れるであろう“主体的で自発的な学びの機会”を損なうリスクがありますので、注意しましょう。」

参考として、“つまづきやすい単元”を紹介しておきます。
(福岡市が令和2年度から使用している教科書に準じています)
 5年上巻… 4.小数のかけ算、 5.小数のわり算、 9.分数と小数・整数の関係
 5年下巻… 14.割合、 15.帯グラフと円グラフ
 6年… 3.分数のかけ算、 4.分数のわり算

次に、“しっかり理解すべき単元”です。
 5年上巻… 2.直方体や立方体の体積、 7.図形の角
 5年下巻… 12.単位量あたりの大きさ、 13.四角形と三角形の面積
 6年… 7.円の面積、 8.角柱と円柱の体積

“つまづきやすい単元”の方は、長年の指導経験を元に、私見で選びました。 が、実際に教科書で、(計算手法ではなく文章題の)例題と説明を読んで頂ければ、「こりゃ~たしかにつまづくかも…」と、
分かってもらえるのではないかと思います。

割合に関しては、“もとにする量を①とする”という原則に縛られなければ、分数や比を利用して、臨機応変に実感しやすい解き方ができるのですが、「原則を多様化させると混乱する子が出てくるし、数学に繋げる意味でも、やはり原則は固定した方がよい」と考えているようで、同一解法を徹底してます。ここが公立教科書の最大の問題点だと私は思うのですが、子どもの知的能力を低く見積もり過ぎているが故の“単純化・固定化”が、むしろ、実感のしがたさ・つまづきやすさに繋がっていると思います。更に… おっと長い固い(笑)、以下略。

“しっかり理解すべき単元”の方は、入試で出題されやすい単元、配点が高い単元を選んでいます。私立中学校の入試出題率ベスト3は、 “平面図形”、“立体図形”、“速さ”です。 福岡県の公立高校入試問題でも、ほぼ同様です。大問6問のうち、後半の3問(=差がつきやすい、つまり合否に影響の大きい3問)は、大問4が、“関数”(グラフの問題。メインは速さ)、大問5が“平面図形”、大問6が“立体図形(空間図形)”となっています。“割合”は重要単元の一つですが、ベスト3には及びません。

差がつきやすい“図形”や“速さ”が、なぜ、“つまづきやすい単元”に入ってないのかと言うと、教科書の内容がかなり基礎的なレベルに限定されているからです。これらの単元で、教科書の内容理解に怪しいところがあれば、中学生になって困ることが多いと思います。学習したその時に、しっかり自分のものにしておくことが大切です。(第1ステップ)

第1ステップがクリアできている場合、(本人の意欲が伴うなら)“つまづきやすい単元”にも力を入れるとよいと思います。もしくは(短所を補うより長所を伸ばすことに意欲を持つタイプであれば)、“しっかり理解すべき単元”の応用レベルの問題に挑戦してみるのも良いでしょう。(第2ステップ)

教材についてですが、「市販のワークや問題集を買ったはいいけど、最初の数ページだけやってあとは…」というような話をよく聞きます。中学受験する子ならともかく、そうでない小5小6の子どもに、そこまでの意欲はなかなか望めないケースが多いようです。その場合のお勧めは、ネットで無料配布されている算数プリントです。「とりあえず一枚」であれば、心理的なハードルがかなり低く、気軽に取り組めると思います。お勧めのサイトのリンクを貼っておきます。
https://happylilac.net/eikoh/index.html
・栄光ゼミナール×ちびむすドリル →「小学5年生」「小学6年生」のページ

基本的には、教科書レベルの内容で構成されたプリントです。が、少しだけ難しい応用問題も含まれていますので、家庭学習に向いていると思います。更に応用力を磨きたいという意欲がある場合は、同ページの「中学受験プリント」に挑戦してみましょう。