●こいく文庫(子ども向け)⑪

☆ ハリー・ポッターと賢者の石 ☆ J.K.ローリング

~両親の死後、親戚の家に預けられたハリーポッター少年。そこでは階段下の物置部屋をあてがわれ、何かとこき使われる毎日。そんなある日、ハリーの11歳の誕生日に一通の手紙が届いた。中身はなんと、魔法魔術学校の入学許可証だった。~

紹介する必要を感じないほど有名な作品ですが、それでもやっぱり、「もし読んでいない子がいたら…」と思い、リストに入れることにしました。
“読書の面白さ”を教えてくれる小学校高学年の必読図書だと思います。売れているから良いという訳ではありません。むしろ私は “売れている本=薄味のまがいもの” と考えているくらいで、この作品に関しても「どうせ…」という先入観
で読み始めたのですが、前半でワクワク、中盤でドキドキ、後半でハラハラ、終幕にスッキリ! 「参りました」と負けを認めるしかない面白さでした。好みが分かれるファンタジー系でありながら、万人受けする間口の広さがあります。
最初は本の分厚さに躊躇すると思いますが、いったん世界に入り込めば話が長いと感じることはまずないと思います。
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●こいく文庫(保護者向け)⑪

☆ 子どもの心のコーチング ☆ 菅原 裕子

副題は“一人で考え一人でできる子の育て方”。どのように子どもを自立へと向かわせるか、非常に
わかりやすくバランスよくまとめられた教科書的な一冊です。

コーチング系の本は沢山読みましたが、技術に走ったマニュアル本が多いように感じました。「こういう場合はこう接しよう」という
ケーススタディがずらりと並べられて、どれを読んでももっともなことが書いてあるのですが、読み終えた後に残るものがあまりないのです。子供との接し方について、頭に入れておくと便利な技術というのは確かに存在するとは思いますが、“なぜ”そうすべきなのか、そうしたいのか、深いところで自分が理解・納得してないまま、表面上だけ真似してみても効果は薄いように思います。
その意味で、この本は親の立場に立って “なぜ”の部分も含めて
丁寧に論旨を進めていくので、読み終えたときに、最も大切な“心構え”の部分に影響が残るように感じました。もちろん具体例も豊富です。幼児~低学年の保護者の方にオススメです。
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●地頭を鍛える学習教室

もうすぐ夏期講習が始まります。
昨年との変更点は、教室生のみんなに楽しんでもらうために、計8回のボードゲームイベントを組み入れたこと。あとは全て昨年同様。というより、春期も冬期も通常授業も、学び舎こいくでやることは常に一つ。とにかくひたすら「絵で解く算数文章題」と格闘してもらい、“とことん考え抜く力をつける”こと。
馬鹿の一つ覚え? いえいえ、賢者は脇目もふらず、ただ一心に真理を追究するのです。

ただ、この夏は、新たな教材、「地頭を鍛えるお絵かき算数ドリル」を導入することで、授業の質を更にもうワンランク引き上げたいと思っています。

現在メインで使用している教材は、「どんぐり倶楽部」の、「絵で解く算数文章題」。
お絵かきを楽しみながら、ゆっくりじっくりていねいに取り組むのが基本です。(小学校の宿題などで
次から次に片づけるような解き方が身についてしまっている子には、これが意外と難しいのですが。)計算ドリルとは違いますので、問題数はそれほど必要ありません。「絵で解く算数文章題」は約700題ありますので、これで充分な問題数だと思います。

ただ、授業では扱える問題が限られているだけに、私自身は「この子に今、最も必要な問題は?最も潜在能力を引き出せる問題は?」ということを考え抜いて、準備して、授業に臨むようにしています。
700題ですから、問題選択もかなり自由がきくのですが、それでも細かく詰め始めると、「こういう方向から攻めたら気づきを促せるかも」「もうちょっとこういう問題で経験を積ませたい」等々、想いが生じてくるため、この三年、コツコツとオリジナル問題も作ってきました。(初期の問題はこちらにもアップしています。今見ると稚拙で恥ずかしい…) 今現在、授業で扱っている問題は、4分の1くらいがオリジナルです。これにより、授業の質は確実に向上しています。でも、まだ、足りない。経験を積んで、問題作成や問題選択のスキルが上がれば上がるほど、ますます細部に目が行くんですよね。
「まだ足りない。もっと問題がほしい!もっと選択の幅を広げたい!」

そんな想いに応えるように、「地頭を鍛える学習教室」の金森先生がやってくれました。どんぐり倶楽部の理論・理念を受け継いだ、随所に工夫を凝らした問題が650題!これはありがたい。
「地頭を鍛える学習教室」のHPはこちら 。いいこと書いてますね~。もっともっと教育業界に、こういう状況に気付く人(すでに沢山いるはず)が増えてほしいし、そこから勇気を持って一歩を踏み出す人(まだまだ少ない…)が増えてほしいです。大人が変わって、子どもを取り囲む環境を変えないと、未来は変わらない。何かの拍子でこのHPにたどり着いた人に一言。「嘘のない こちらの世界は 楽しいよ」
ではでは、しっかりと教材研究して、パワーアップした授業をお届けします!よろしくお願いします!

●こいく文庫(子ども向け)⑫

☆ 冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 ☆ 斉藤 惇夫

~大都会に住むドブネズミのガンバは、船乗りネズミたちと知り合い大パーティーを繰り広げていた。
そこへ助けを求めてやってきたのは、全身血だらけの忠太。忠太の必死の願いにガンバたちは…。
冒険の旅が今、始まる!~

この作品が私が選ぶベストオブベスト、児童文学の最高峰です(ただし上級者向け)。島にいる忠太の仲間を窮地に陥れているのは、魔力を持った“ノロイ”率いるイタチ一族。「ネズミはイタチにかなわない」という絶対的な事実があるのにも関わらず、島に向かうガンバたち15匹。
“戦うことは逃げること”という絶望的な状況に、勇気と
知恵と友情で立ち向かい…。
夢中になるうち心は本の中。ガンバたちと一緒に、恐れ、悲しみ、奮い立ち、喜び・・・。そして大きな感動と共に一つの冒険が終わった後、本を読み始める前とは少しだけ(しかし確実に)変わった自分に気づくのです。
心を揺さぶる冒険ファンタジーの大作。特筆したいのは文章の美しさ。特に台詞は、シンプルでタイトでハードでソリッド。かっこいい!