●こいく文庫(保護者向け)⑩

☆ 勉強する理由 ☆ 石井 大地

皆さん、学生時代に、「なんでこんなこと勉強しないといけないの?」 という疑問を持ったことはありませんか? それに対する親や先生の答えに、何か釈然としない思いを持ったことは? もしあるのであれば、大人になった今、その答えは見つかりましたか? 

親の立場から、“子どもに勉強させる理由”をでっちあげるのは
意外と簡単なんです。大人ですから。いくつかは思いつくでしょう。
でも、“大人になる”ということは“本当にはわかってないことをわかったことにして世渡りできるようになる”ことではないはずです。
かつて同じ疑問を持った一人の人間として、今あらためてその疑問を考え抜き、納得できる答えを見つけたいとは思いませんか? 純粋で切実で真剣な子ども達の問いに、人生の先輩として、純粋に切実に真剣に答えてあげたいと思いませんか? 
現役の東大生が若者の立場から考えて主張するこの本。
随所に若さゆえの拙さが感じられますが、答えを探す旅のガイド本として、非常に優れていると思います。

●本格ボードゲーム大会

先週の土曜日、初めての『本格ボードゲーム大会』を実施しました。
学び舎こいくの授業では、文章題をしっかり頑張った後、みんなでボードゲームを楽しむのが定番になっています。普通の玩具店に置いてある国産ボードゲームは質も量も貧弱ですが、海外の作品を取り扱う専門店には、大人も子供も楽しめる良質なボードゲームが沢山あります。(例えばこちら)
この中から、“低学年の子でもルールを理解できる” “30分以内に終わる” ゲームを私が厳選して、
随時ラインナップに加えています。(現在50作品ほど所持)

今回の『本格ボードゲーム大会』では、対象を高学年(5・6年)に限定し、上記の条件から外れた“複雑で戦略性の高い” “30~90分かかる” ゲームを楽しみました。参加者は男子4・女子2の6名でした。

まずは写真の『ナイアガラ』(こちら)。何度も滝に落ちそうになりながら、なんとかギリギリのところで踏ん張る展開が続きましたが、後半、突然の激しい急流に、集団でドボーン!一人残ったAくんが大逆転勝利を収めました。

次に『お邪魔者』 (こちら)を二回。さすがに高学年、心理戦を盛り上げる演技が巧みで、いったい誰がお邪魔者なのか、終盤までわからない展開。うまく正体を隠したお邪魔者チームが二連勝でした。この手のゲームは、意外な子が演技上手だったりするから面白い。早々と正体がばれてしまった
“お邪魔者”(ハイ、私です…)に対抗するプレイをすることで、誰もが(味方である私でさえも)“まじめな金鉱掘り”だと信じ切っていたBちゃんが、まさかの“お邪魔者”!見事な
名演…。主演女優賞はあなたです!

最後に『キング・オブ・トーキョー』 (こちら)。見た目と内容から予想できる通り、男の子たちは目を輝かせてました。採用する戦略にそれぞれの個性が表れてるのが面白かったです。攻撃力をアップさせたCくんと防御力をアップさせたDくんがゲームを引っ張る展開になりましたが、最後はCくんの強烈なアタックが成功!Cくんの完全勝利で幕を閉じました。

ということで、各ゲーム1時間ずつの3時間、楽しい時間を過ごしました。
「どうせやるならとことん!」と長めにとったつもりの3時間も、終わってみればあっという間で、子どもたちからも「え!もう?」という声が。時間を忘れて楽しんでくれたようで良かったです。夢中になって
勝利を目指す中で、考える楽しさも味わえたのではないかと思います。

●味わいながら、進もう。

6月は面談期間。この三日ほど、なぜかはわからないけれど料理の話になることが多く、私も料理についてはちょっとしたコダワリがあるので、ここでちょっと料理と勉強の関係について思うところを。

料理の楽しさ、というのはつまるところ、“レシピのない料理”あるいは“レシピに頼らない料理”にこそ
ある、というのが私の持論です。もちろん、レシピの通りに仕上げる楽しさ、というのもあるとは思うのですが、それでもやはり、自分の感覚を頼りにアイデアをかたちにすることができたとき、素材を活かしきることができたとき、そんなときは格別の充実感があると思うのです。

料理の初心者がレシピから入る、それはまあ当然のことです。でもそのあともずっと「料理=レシピに従って作るもの」という固定観念から抜けられない人は、いつでも“自分の感覚”よりもレシピを優先して、そこから外れることがないから、「なぜそうするか」を考えることなく、経験することなく、いつまでたってもレシピ通りに料理している。創意工夫ができない。そういうことってないでしょうか?いや、それを否定しているわけではないのですが、でも、“楽しさ”という意味ではどうなのかな、と。

料理ってもっと自由なものだと思うんです。レシピに頼らずとも料理はできる。「なぜそうするんだろう」とか「こうしてみたらどうなるんだろう」という疑問を持って、解明すべく実験を重ねて、その経験から “自分の感覚”というものをどんどん磨いていく。そのうちレシピより“自分の感覚”が優先されるようになり、「今日はちょっとこんな味にしてみたいから、これ試してみよう♪」という自由を手にしていく。
なんとなく、こちらの方が楽しいのではないか、と思うわけです。もちろん失敗も増えるでしょうが、そこから学ぶことができれば失敗も成功の元。経験を積めば積むほど、応用を利かせることができるでしょうし、そうすることで更に深く、料理の楽しさを知ることができるように思います。

長々と何を書いているのかというと、勉強も料理と似ているな~と思うのです。「勉強=先生に教わるもの」という固定観念に縛られている今の子どもたち。頭に浮かぶ様々な疑問を突き詰めて考える時間を与えられず、目先の結果を出すために“自分の感覚”で試してみる機会も与えられず、レシピ通り(教わった通り)にするように訓練されて。今の小学校教育は、どんどんそういう方向に向かっているように感じます。でもこれって楽しくないのでないかと。更に応用も利かないのではないかと。(「カレー、作れる?」 「うん。習った。」 「じゃあ今日は冷蔵庫の夏野菜とひき肉を使って作ってみよう!」 「え~ジャガイモとニンジン使うやり方しか習ってないから絶対ムリ~。わからんし~ありえんし~」 「・・・。」)

勉強ってもっと自由なものだと思うんです。公式に頼らずとも問題は解ける。学び舎こいくでは、「なぜそうするんだろう」とか「こうしてみたらどうなるんだろう」という疑問を、(絵という道具を使って)突き詰めて考える時間を大切にしています。レシピに書いてあるから(そう教わったから)、なんてことに縛られず、失敗してもいいから、“自分の感覚”で納得がいくまで(腑に落ちるまで)経験を積んでほしいと思っています。解明すべく実験を重ねて、その経験から “自分の感覚”というものをどんどん磨いていく。経験を積めば積むほど、応用を利かせることができるでしょうし、そうすることで更に深く、学ぶことの楽しさを知ることができるように思います。

最後に。料理についてちょっとしたコダワリが…と書きましたが、実際のところ、自分で料理するのはだいたい・・・ 二年に一回?くらいかな(笑) 色々と生意気なこと書いて、、、すみませんでしたっ!

●小3ボードゲーム王決定戦

昨日22日、学び舎こいくにて、ボードゲームイベント第二弾を開催しました。(第一弾はこちら)
対象は小3の教室生。普段の授業では使うことのない“1対1の対戦型ボードゲーム”で勝ち抜き戦を行い、最強の“ボードゲーム王”を決めよう! という『小3ボードゲーム王決定戦』です。集まったのは男子5名・女子2名の計7名。ボードゲームに関しては誰もが“腕に自信あり”。普段の授業のなかで思考力を磨き上げてきた小さな賢者たち、みんな優勝に向けて意気込み十分です。

記念すべき第一回の決定戦のために選ばれたゲームはこちら、 “ポケモンバトルチェス”。この手のキャラクター商品は、えてして内容がお粗末だったりしますが、このゲーム、完成度が高いです。
ルールはシンプルで初心者に優しい親切なデザイン。ベースが
チェス(将棋)なので当然のごとく戦略性は高いのですが、適度な運要素が取り入れられているため逆転の可能性が最後まで残り、自ずと展開はドラマチックに。ノーマルコマの4倍の大きさで盤面を彩る“伝説ゴマ”の存在も、ゲームのテーマとシステムに完璧にフィットしています。本格的な対戦型ゲーム(囲碁や将棋)への入門編としても最適だと思います。友達同士で、きょうだいで、親子で、長く遊べるオススメの作品です。
経験者2名、MくんとSくんによる練習試合でルールを説明し、いよいよ本番。人数合わせで急遽参加となった主催の38才男性(心は小3)を含めて、8名でトーナメント戦を行い、優勝を決めます。
熱い戦いを制し、決勝に上がってきたのはTくんとMくん。Tくんの戦い方は“速攻型”。狙いをタマゴ
コマに絞り、リスクを恐れず積極的に攻め上がり勝利をつかんできました。対するMくんは“逆襲型”。
陣形を整えチャンスを狙い、ここぞというタイミングで相手の伝説ゴマを倒して勝ち抜いてきました。
なんとあの38才男性さえも軽く一蹴!見守るみんなの優勝予想もMくんです。…が、一進一退の攻防を制したのは、予想をくつがえして、Tくん! 初代“小3ボードゲーム王”はキミだ、おめでとう!

・・・という感じで盛り上がり、とっても楽しい時間を過ごしました。印象に残ったのが、全員のマナーの良さ。勝敗がはっきり決まる1対1の対戦ですから、始まる前は、「感情的になる子がいないか」「険悪な雰囲気にならないか」「ルールを公正に守れるか」「口出しせずに見学できるか」などなどの心配がありましたが、そういったことは一切なし。通う曜日もバラバラ、小学校もバラバラな7名で、初対面の子も多かったのですが、すぐに打ち解け、でもお互いを気遣い、協力し合って共に楽しむことができたのが何より嬉しかったです。 みんな~、ありがとう♪