●こいく文庫(子ども向け)⑧

☆ ドングリ山のやまんばあさん ☆ 富安 陽子

~ドングリ山に住むやまんばあさんは296歳。それじゃあ、きっとヨボヨボだろって?  
いやいや、やまんばあさんときたら、オリンピック選手より元気でプロレスラーより力持ちなんだ。
ありえないほどにパワフルで、ピュアで、ユニークな、やまんばあさんの大騒動!~

良質な児童文学を多数生みだしている著者が、最高に魅力的な主人公を作りだしました。やまんばあさんの常軌を逸した豪快さと可愛らしさに、誰もがきっと引き込まれるはず。
ここまで紹介した本に比べると、漢字が多くて挿絵が少ないので、自分で読むのなら小学校中学年向けです。
お話は5つに分かれていて、それぞれ一話完結。
どれも笑いが入るので読みやすさは抜群です。児童文学でこれほど大人も子供も笑える作品というのも珍しいのでは。
読後感はスッキリ、そしてほっこり。スケールが壮大すぎるやまんばあさんに、元気をもらえる一冊です。
一話ずつはそれほど長くないので、低学年の子に読み聞かせてあげるのにも向いています。

●こいく文庫(保護者向け)⑧

☆ 勉強しなければだいじょうぶ ☆ 五味 太郎

世界的な絵本作家が書いた、ちょっと(いや、だいぶ?)辛口な教育論。なんせ、“勉強しなくても”では
なく、“勉強しなければ”ですからね。けっこう(いや、かなり?)過激です。

この本では、個人が自らの好奇心に突き動かされて学ぶ“学習”
と、個人的必然を感じないままに与えられる“勉強”、その二つを
分けて捉え、本来は“学習人”として生まれてきたはずの子ども達が、学校というシステムのなかで次第に個を失い“勉強人”化していく現状を批判しています。
“学校制度”自体が持つ問題点が指摘されているため、我が子を毎日学校に送り出している保護者から見れば、これは大変な問題作です。ある意味、安定を脅かされるほどのパワーがあります。
それでもこの本をここで紹介する理由は、私自身が「勉強しないできてよかった、学習してきてよかった」と感じているからであり、学校制度に実際に大きな問題点があることを感じているからです。保護者がこのような視点を持つことで、救われる子どももいるのではないでしょうか。ぜひご一読ください。

●新しい教育

4月。長男は小学校に入学し、長女は幼稚園に入園しました。
未就学児4人がわーぎゃー騒いでいた騒乱の春休みが終わり、少しずつ平穏な日々を過ごせるようになってきました。私のいない夕食前後の時間は、相変わらず大変なことになってるようですが(笑)。

長男は地元の公立小学校に入学しました。前回こいく文庫(勉強~)のところにも少し書きましたが、
私は小学校の現状に少なからず問題を感じています。この間、初めて長男の授業参観に参加して、
改めて「うーん…」と感じました。具体的なことには触れませんが、、なーんか気が滞っているというか風通しが悪いというか、“窮屈”。共に学ぶ場として、触れ合う場として、もっともっとイキイキとした場であってほしいと思いました。現場の先生を批判するつもりはありません。現状に責任を負っている大人の一人として、このままではいけないと改めて感じました。

小学校入学に際してはけっこう悩みました。別の選択肢もあったので、今もまだ「これでいいのかな」
という気持ちを捨てきれません。とりあえずの結論で公立小を選びましたが、長男の様子を見ながら
今後も考えていくつもりです。

“別の選択肢”とは、大学付属の私立小や国立小ではありません。“さらに別の選択肢”です(笑)。
学校崩壊が叫ばれる今、多様な選択肢があってしかるべきだと思うのですが、今はまだそうなって
いません。 「理想の教育環境とは?」 答えは一つ、かもしれないしそうでないかもしれない。
いくつか紹介したいと思いますので、世の多数派とは違う価値観に触れてみてください。

数は少ないですが、独自の教育理念を実践している小学校があることをご存じですか?
福岡県内にある二校を紹介します。(<>の部分をクリックしてください。)

まずはご近所から。福岡市南区長丘の【福岡シュタイナー学園】です。
<HP> 長男の幼稚園がシュタイナー系だったので知り合いも何人か通っていますが、アットホームな良い学校だと聞いています。学校公開に行ったこともありますが、確かに雰囲気がよかったです。
<シュタイナー学校一覧> 特にアーティスティックな子には向いているかもしれませんね。
<京田辺シュタイナー学校の動画> シュタイナー学校って?という方にはこちらがオススメです。

次に、北九州市平尾台にある、【北九州子どもの村小学校】。
<西日本新聞の紹介記事> 個人的に最終段落の意見は的外れだと思います。新聞っぽいですね。
<子どもの村HP> イベントに参加してみたいけど、そうしたらうちの子、もう帰ってこなくなるかも…
<きのくに子どもの村学園> という学校が最初にできて、その5校目の系列校が北九州です。
<きのくに紹介動画> これを見て「こんな小学校に通いたかった!」と思うのは私だけでないはず。

それから、場合によっては【ホームスクーリング】という選択肢もあるのかな、と。
“両親が勉強を教える”ホームスクーリングではなく、“整った環境の中で遊びを追及させる”ホームスクーリングです。「何それ?そんなことしてたら…」と思いますか?ちょっとこちらを見てみてください。
<はるや日記→カテゴリー“ホームスクーリング”>
どうですか?素敵だと思いませんか?私は思います。このブログ、もうだいぶ前から欠かさず読んでるんですが、完全にこの子たちのファンになってます(笑)。いや~素晴らしいな~と、いつもため息を
ついてしまいます。きっとご両親の生き方が素晴らしいからでしょうね。

最後に、もう一つ私が大好きなブログを。“日本辺境論”を始め名著が多数、思想家の内田樹先生のブログです。少し前に、下記のようなタイトルの文章がアップされました。色々と考えさせられます。
<学校教育の終わり(内田樹の研究室)>

●こいく文庫(子ども向け)⑨

☆ チョコレート工場の秘密 ☆ ロアルド・ダール

~チャーリーが住んでいる町にある、世界一広大で、世界一有名なチョコレート工場。働く人たちの
姿をだれも見たことがないナゾの工場!そこへ、五人の子供たちが招待されることになった。
招待状の入ったチョコレートは、世界にたったの五枚。~

1964年以来、読み継がれている児童文学の傑作。
映画も有名ですね。2005年発売の新訳版は手に取りやすい装丁(イラスト)でポップに仕上がっています。
内容の方も超ポップ!普通の児童書ではあり得ないほどに奇想天外でファンタジック、過激でパワフルな文章は、本を読むのが苦手な高学年の子にも、「この本はちょっと違う」と思わせるのに充分です。期待が膨らまずにはいられない
オープニング、次々登場するコミカルなキャラクター、そして
休む間もなく展開していくストーリー。規格外です。
ブラックユーモアがきつすぎるという意見もあるようですが、全体を通して読めば、筆者の真意(想いと願い)は子どもに伝わるのではと私は思いました。

●こいく文庫(保護者向け)⑨

☆ わらのお話 ☆ 船越 康弘

自然食料理人である著者の講演録をまとめた一冊。“食を通して生き方をさぐる”という副題のとおり、食に始まり生活・家事・仕事・子育て、そして人生について、著者の考えがユーモアを交えて軽やかに語られていきます。

とにかく、この人の考え方、人柄が本当に素晴らしい!
雑多な情報に囲まれて生きる我々が、いかに物事の本質を見失いかけているかを、気づかせてくれる内容だと思います。
ちょっと目次を挙げてみると・・・。“第一章「人生イメージどおり」/変人は自由人/やりたいようにやる/条件を超える/捨てれば入ってくる/自己限定を外す/思ったことが実現する”
…どうでしょう? 料理人(民宿のおやじさん)の本に思えませんね。なんか面白そうだと思いませんか?怪しげ?いや、とにかくまぁ
ちょっと読んでみてください。私はこれを読んで心が軽くなりました。心が温まり熱くなりました。人生において本当に大切なものは何か、真摯に考えさせられると同時に、前向きさや、元気を与えてくれる一冊です。